2007 ルマン24時間耐久レース
Race Schedule
6/3 公式テスト
6/13 - 14 予 選
6/16 - 17 決 勝
   
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決勝
Po. No. Cl. Team Machine Driver Laps
1 1 LM1 Audi Sport North America Audi R10 TDI BIELA / PIRRO / WERNER 369
2 8 LM1 Team Peugeot Total Peugeot 908 Hdi FAP LAMY / SARRAZIN / BOURDAIS 359
3 16 LM1 Pescarolo Sport Pescarolo Judd COLLARD / BOULLION / DUMAS 358
4 18 LM1 Rollcentre Racing Pescarolo Judd BARBOSA / HALL / SHORT 347
5 009 GT1 Aston Martin Racing Aston Martin DBR9 BRABHAM / RYDELL / TURNER 343
- 9 LM1 Creation Autosportif Ltd Creation Judd CA07 NAKANO / CAMPBELL-WALTER / ORTIZ 55
From : 中野信治

迎えた決勝日。朝、目覚めると雨は止んでいるものの空は鉛色。朝一番に行われたウォームアップはウエット路面でした。
今年のスタートは例年より1時間早まり午後3時スタート。空は薄曇ではありましたが、まだ雨の降る気配はありません。

そしてドライ路面の中、今年のルマン24がスタートしました。大きな混乱もなく全車無事に1コーナーをクリア。スタートドライバーを務めたジェイミーは一つ順位を落とすものの順調に周回を重ねます。11周を終えた所でまずは1回目の給油の為にピットイン。給油とタイヤの内圧を調整し2スティントめに入りました。

2スティントめに入ってからのジェイミーは次第にラップタイムを縮めていき、この地点でアウディ、プジョーの次のガソリンクラスの中では一番速いラップタイムを記録しながらラップを重ねていました。
そしてこの2スティント目に入った6周目にだんだんと重さを増してきていた空から雨粒が。そして一気に雨脚が強まり、数台のマシンがこの雨に足をすくわれコースアウト、クラッシュ。

何とこの中にピットに戻る途中であったチームメートの姿が・・・。なんとかピットには戻ったものの、マシンはかなりのダメージを受けており、修復には1時間以上の時間を有しました。

メカニック達の懸命の作業で何とかマシンを修復し、ドライバーをフェリッペに交代。順調にフェリッペが周回を重ね始めたかと思われた直後、第一シケインで突如タイヤバリアに激突。ピットには戻れたものの、マシンはダメージを受けており、再びメカニックによるマシンの修復が始まりました・・・。
このクラッシュの原因は1回目のクラッシュが引き金となり、ブレーキのトラブルを引き起こしていたことのようでした。

1時間半程の修復時間を要した後、ようやく僕がマシンに乗り込み、修理箇所のチェックも兼ねコースイン。ペースを落としながら半周を終えた所で、何とマシンのリヤエンドに突然異変が起こりました。マシンは全くコントロール不能になり、なす術もなくコースアウト。
リヤウイングにダメージを負いピットに戻るものの、これまでに2度も大きな修理を施していたこともあり今度ばかりはマシンを直す為のパーツもなく、1時間ほどのピット作業の末、ついにリタイヤをチームが決定。
中野信治 ルマン
中野信治 ルマン
中野信治 ルマン
中野信治 ルマン
今回のルマン24に向け、ぎりぎりのタイミングでチームの参戦が実現した為、不幸な事にスペアパーツに関しても十分な数は用意出来ていませんでした。

ここで僕のルマン24が終わりました。
戦う前に終わりを迎えてしまった今年のルマン24。悔しいと言う感情が起きないぐらいに、しばらくの間僕の心の中はからっぽの状態が続きました。これがレースなのか。ルマン24で完走する事、いやそれ以前にに戦う事すらできないとは。

チームメートの2回に及ぶクラッシュと時間の制限された中でのピット作業、そしてマシンをクラッシュさせて修復している部分が同じ場所であった為に、マシンの修復部分に何らかの異変が起きてしまいました。

このレースの難しさの一つに3人のドライバーで戦いと言う事が挙げられます。メカニック、ドライバー、誰か一人のミスで全ての流れ、歯車が簡単に狂い始める。何か一つが引き金になり、それはやがて大きなひずみに変わり始める。そんな状況の中、24時間を戦うと言う事の難しさ。

3人のドライバーがいるという事は、それだけ自分自身の力でコントロールできる部分が少なくなります。今回は天候の突然の変化で雨によるクラッシュが続出しました。あの無敵といわれたアウデイさえも、3台のうち2台がこの雨に足を掬われてリタイヤでした。日本での僕のチームメートである黒澤治樹君が出場していたLMP2クラスでは、完走した車が僅かに2台だけのサバイバルレースになっており、いかに今回のルマン24で完走することがいかに難しいものであったのかを証明しています。

僕のチームでトラブル続出の引き金となったのも、この突然の雨によるチームメートの最初のクラッシュ。
本当にルマンには人間の力を超えたもっと大きな力が存在しているように思います。この24時間という圧倒的な時間の中に。この場所に戻ってくると、時間の概念を深く考えさせられるような気がします。

今レースを終えて思うことは、チーム全てをひっくるめて、もっと強い力で流れを変えていくパワーが必要だということです。皆のもっと強い意識が・・・。

僕が今年このチームでやるべき事が、良くも悪くも今回のレースで明確になりました。クリエーションは小規模なチームですが、一人一人は本当に良くやってくれています。資金力もワークス勢に比べれば十分の一にも満たないでしょう。ただ、もし光があるとすれば、今回のこのレースで時折見せる事が出来たマシンの持つスピード、そしてこのチームで働く一人一人の仕事に対する 情熱。
僕はこの大切な部分をこームから感じ取る事が出来ました。

後はこのスピードを今年の残りのレースでどこまで形に出来るか。
まずは来週行われるドイツ・ニュルブルクリンクでのレースです。

ルマンには24時間という長時間を戦う中で様々なハードルが存在します。最後のゴールの瞬間を迎えるまでには多くの試練がありますが、チーム一丸となってそれを乗り越えた時の達成感は格別なはず。

まだまだ戦いは続きます。そして08年へ向けても・・・。
予選
Po. No. Cl. Team Machine Driver Time
1 8 LM1 Team Peugeot Total Peugeot 908 Hdi FAP LAMY / SARRAZIN / BOURDAIS 3:26.344
2 2 LM1 AAudi Sport North America Audi R10 TDI CAPELLO / KRISTENSEN / McNISH 3:26.916
3 7 LM1 Team Peugeot Total Peugeot 908 Hdi FAP GENE / MINASSIAN / VILLENEUVE 3:27.724
4 1 LM1 Audi Sport North America Audi R10 TDI BIELA / PIRRO / WERNER 3:28.301
5 3 LM1 Audi Sport Team Joest Audi R10 TDI LUHR / PREMAT / ROCKENFELLER 3:29.736
6 16 LM1 Pescarolo Sport Pescarolo Judd COLLARD / BOULLION / DUMAS 3:33.590
7 13 LM1 Courage Competition Courage LC70 AER GOUNON / MOREAU / JOHANSSON 3:35.171
8 18 LM1 Rollcentre Racing Pescarolo Judd BARBOSA / HALL / SHORT 3:35.559
9 14 LM1 Racing For Holland Dome S101.5 Judd LAMMERS / HART / BLEEKEMOLEN 3:35.660
10 9 LM1 Creation Autosportif Ltd Creation Judd CA07 NAKANO / CAMPBELL-WALTER / ORTIZ 3:36.279
From : 中野信治

3度目の挑戦となるルマン24を終えました。

6月3日の公式テストをきっかけにして、普段は本当に静かなこのルマンの小さな田舎街はにわかに活気を帯びてきます。
この6月初旬からレースが行われる夏至にあたる6月中旬までは、気候も最高でここフランスは最も美しく、輝きに満ちた場所になります。

3日に行われた公式走行は、まずまずの結果で終えることが出来ました。チームとしては今季のスタートが大幅に遅れていたこともあり、大きなトラブルなどが予想されましたが、順調にこのテストデーを終了。
順位は9番手。タイムアタックもしていない状況の中での結果なので、翌週に行われる 予選に向けては決して悪くない状況でした。

そして迎えた予選日初日は曇り。
今にも雨が落ちてきそうな空が広がっていました。僕が所属するイギリスのチーム「クリエーション」は、この日テストデーからバージョンアップの電装部品をマシンに装着してきていました。これらの部品は、走行中のデータをより多く正確に収集する為のものなのですが、この部品が原因と思われるトラブルがこの重要な1日を混乱させる事に・・・。

トラブルを解消するためにピットアウト、ピットインを繰り返す中、時間はどんどん過ぎていき、走行開始から数時間経過した所で空から雨粒が落ち始めました。なかなか直らない電気系のトラブルでしたが、ようやく完全とはいかないまでも走行を続けられる所まで回復。この時既に、走行終了まで1時間を切っていました。
この頃には降っていた雨も止み、周回を重ねるごとに路面が乾いていくような路面コンディション。僕とチームメートの一人フェリッペ・オルティツ選手は規定周回をクリアする為の走行だけをウエットタイヤで行い、チームの為にも残りの時間全てを乾いてくる路面で少しでも順位を上げてもらう為、今回のアタックドライバーをつとめるジェイミー・キャンベルウォルター選手にマシンを託す事に。
中野信治 ルマン
中野信治 ルマン
中野信治 ルマン
中野信治 ルマン

この時点で全く周回を重ねていなかった僕達のチームの順位は20番手。この予選は夜の7-9時、10-12時に行われる為、サーキットは既に夕闇に包まれています。この状況の中、明日の天気予報が雨だと言う事もあり、トップチームは乾いてくる路面の中タイヤをスリックタイヤに変えてアタックを始めています。

最終的に殆ど走行を行っていなかったジェイミーも10番手まで順位を上げた所で予選は終了。予選タイヤも使っていない中で、アタックも行えていない中ではまずまずの順位でした。

今回のレースはプジョー、アウデイのディーゼルエンジンを使うワークスチームが公式走行時から圧倒的な強さを見せており、この予選でもその強さは変わらずプライベートチームとの差は歴然でした。このレースのレギュレーション自体もディーゼルに有利に作られており、これも この圧倒的な速さを後押ししているのは事実です。

現状で僕のチームがまず目指す所は、ディーゼル以外の通称ガソリンクラス(今回はディーゼル勢との差があり過ぎるので、皆このように言っていました)の中でのトップを獲る事でした。
実際このディーゼルのワークスチームとガソリンを使うプライベーターチームとのタイム差は同じクラスでありながら6秒以上あり、このレギュレーション問題は 来年以降に向けて物議をかもすだろうとも言われています。

明けて翌日行われた2回目の予選は、天気予報どおり雨にたたられてタイムアップが出来たチームは皆無でした。
クリエーションはこの2日目の予選も前日からのトラブルを引きずっていましたが、多少状況は好転しており、雨の中僕も周回を重ねる事が出来ました。

この雨の中の僕自身のラップタイムは、同条件で走っているタイミングでは常にアウディ、プジョーのディーゼル勢に次ぐもので、プライベートチームのトップを常に争う事で僕自身の速さを証明する事は出来ました。
また、ルマンの雨の中での走行を自分のものにするという意味では、大きな価値のあるセッションにする事が出来たと思っています。

そしてどのチームも初日の予選から順位を変えることなく2日目の予選も終了。雨、そして思ってもみなかったマシントラブル・・・。
チームにとっては予想以上に厳しい予選となりましたが、ルマンはレースが全て。

こうして2日間にわたる予選を終えました。
公式テスト
Po. No. Cl. Team Machine Driver Time
1 8 LM1 Team Peugeot Total Peugeot 908 Hdi FAP LAMY / SARRAZIN / BOURDAIS 3:26.707
2 1 LM1 Audi Sport North America Audi R10 TDI BIELA / PIRRO / WERNER 3:28.277
3 2 LM1 AAudi Sport North America Audi R10 TDI CAPELLO / KRISTENSEN / McNISH 3:28.406
4 16 LM1 Pescarolo Sport Pescarolo Judd COLLARD / BOULLION / DUMAS 3:28.574
5 7 LM1 Team Peugeot Total Peugeot 908 Hdi FAP GENE / MINASSIAN / VILLENEUVE 3:30.314
6 3 LM1 Audi Sport Team Joest Audi R10 TDI LUHR / PREMAT / ROCKENFELLER 3:30.613
7 14 LM1 Racing For Holland Dome S101.5 Judd LAMMERS / HART / BLEEKEMOLEN 3:34.035
8 10 LM1 Arena Motorsports Zytek 07S JOHANSSON / SHIMODA / CHILTON 3:34.340
9 9 LM1 Creation Autosportif Ltd Creation Judd CA07 NAKANO / CAMPBELL-WALTER / ORTIZ 3:34.398
10 17 LM1 Pescarolo Sport Pescarolo Judd PRIMAT / TINSEAU / TRELUYER 3:34.941
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