15.
June
2016
レースウィークの初日は、毎年公開車検で始まります。
毎年ルマン24の公開車検は、サーキットから20分程離れた場所にあるリパブリック広場で大勢のファンの方達の目の前で行われます。
マシンの車検をサーキットでではなく、こうしたルマン市内の中心地で、しかも一般公開でやってしまうところが凄い…。
ドライバーにとっても、またチームメンバーにとってもかなりの大仕事なのですが、こうした一見すると無駄に思えるようなことを一貫して続けることが、そのイベント自体を文化に育てるというなのかもしれません。
近年ではいかに無駄を省いて合理的に物事を進めるかということだけに目が向いてしまっているような気がしますが、こうした歴史のある世界的なイベントは、忘れかけていた多くの大切なことを思い出させてくれます。
車検会場には世界各国から大勢のメディアが集まり、公開放送も行われます。
そして毎年老若男女問わず、本当に多くの方たちが集まってくださいます。
我々のチームは車検の最後だったので、随分と時間も遅くなっていたのですが、こんな小さな子供が最後までサインをもらうために待ってくれていました。
マドモワゼル達まで…。
こんなおばあちゃままで!
こうした光景を目にする機会に恵まれると、改めて世界で戦うことの素晴らしさに感動を覚えます。
これは、僕がこうして世界で戦い続ける理由の一つなのかもしれません。
モータースポーツが文化になるとはどういうことなのか、日本のレースシーンはどこへ向かうべきなのか、今一度レースに関わる全ての人たちが再考する必要があるのではないでしょうか。
こうしてこのイベントを心底待ち焦がれている多くのファンの方たちの待つ場所に戻れることが、ドライバーにとって最高の喜びだということを日本の若いドライバー達にもぜひ経験してほしいと心から願っています。