モータースポーツについて思ふ・・・
合計にして何年になるだろう?10年以上にはなると思う。
僕はそれなりに長い時間をアメリカ・ヨーロッパで過ごし、そして世界のトップカテゴリーのレースとそこに関わる人間模様をつぶさに観察してきました。
そしてこのスポーツがその国の歴史・文化として認められてきた理由を・・・
元来僕は人を観察するのが好きです。
僕は自分をなかなか変えようとはしないので、頑固だと時に指摘されることがあります。
僕自身も時々そう思う時がありますが、ただ悪いものは悪いと認め、自ら変化していこうという気持ちも人一倍持っているとは思います。
僕は自分の考えに信念を持っており、自分の軸をぶらさないことで、自分の周りに起こる出来事、関わっている方々を、常に変わらない目線から冷静に見ているつもりです。
あくまで「つもり」ですが・・・(笑)
皆さんエゴと言う言葉をよく耳にすると思います。
そしてもう一つ、プライドと言う言葉。
この2つの意味の違い、僕なりの解釈でこの言葉をたまに使うことがあるのですが(その話はまた長くなるので今回は割愛させていただき、またの機会に。)僕のいう信念とはエゴではないと、それだけは解って頂きたいなぁと。
ドライバーとして、そして一人の人間として。
今強く感じること。
もう目先の点だけを見るのはやめにして、もっと大きな先のことを考えるべき時が日本のモータースポーツ界にも来ているはず。
このスポーツは今、過渡期にあるといっても過言ではないでしょう。
ここ日本でもし盛り上がっているように見えるレースがあるとしたら、それは儚い幻想になりえる可能性は限りなく高いように思えます。
必ずどんな物事にも変化が訪れる、それが本当の意味でいい変化になるように。
このスポーツに関わる一人一人が、今までとは違った感覚で現在と未来を自覚(意識)しなければいけない時期なのではないのでしょうか。
今までこの世界で当たり前に存在してきた常識と言う概念が、必要な部分では変化していかないと、この素晴らしいスポーツの未来が決して明るくは無い事を、既に沢山の人たちが認識しているはずだから・・・
ここから10年、いや、そんなにはかからないかもしれない。
この地球上における常識と言う概念はあらゆる分野で覆されていくと思われます。
そして忘れ去られるともいえるでしょうか。
それが人間の進化、技術力の著しい進歩の結果なのでしょう。
そういった意味ではこれら全ての事実を踏まえた上で、地球全体のシステム、流れ自体が
過渡期にあるといっても過言ではないかもしれません。
昨今の地球上における環境問題も、その中の最も大きな問題の一つだと思います。
もはやそれが今の時代であり、今まで自分達が行ってきたことに対する答え、それを受け入れなければならないタイミングなのでしょう。
そして変化を受け入れ、責任と共により良い未来を創造していくことが、これからは間違いなく重要になるはずです。
今日から始まった北海道洞爺湖サミット。
どのような議論が交わされるのでしょうか。
とても興味深く、これらの問題に関わっている一人の人間として、しっかりと耳を傾けたいと思っています。
未来は確実に先からやってきます。
だから創造する事ができる。
後からではないのです。
過去と未来の決定的な違いは、過去は変えられないという事実。
でも未来は違う。
だから何か失敗をしたとしても、前を見て! ポジティブに! なんて言葉で叱咤激励される。
けれども前を向けるかどうか、未来をより良いものに出来るかどうかは、一人一人の意識次第です。
もちろん大切な学びは過去からも沢山あります。
温故知新。
これもとても大切なこと。
全てはバランス感覚であるとも感じます。
やはり変化を受け入れ、自ら変化に身を投じて行くことが、何かを変えるきっかけになるのでは?
僕はただ純粋にそう思うだけ。
今回僕がここで書かせていただいた事柄は、今までの多くの方達がやってこられた事、そして現在やられている事を否定しているのではないという事だけは、ご理解頂けると幸いです。
これからの若いドライバー達は自分がドライバーである前に、一人の人間であるという事をもっと自覚する必要があるでしょう。
全てのキーワードは人です、速い遅いはこのスポーツでは当然大切なこと。
でも本当にこの国でモータースポーツを文化にしたいのなら、人を育てること。
それに尽きると僕は考えています。
それは何もモータースポーツに限った話ではないのかもしれません。
人として、そしてドライバーとしての素晴らしい才能、そして心を持った選手が
どんどん出てきてくれることを僕は心から願っています。
「その為には、変わらなければならないシステムがあるというのも事実。
一種の既得権のようなものを守ろうとする事に固執してしまうと、本当の未来は見えなくなる。
本当の自分も見えなくなる・・・
なぜならそれは自分中心であり、そこからは明るい未来が見えてこないから・・・」
もっともっと書きたいことは山ほどあります。
僕は口下手だし、人に自分の気持を伝えるのが上手いほうではありません。
皆が思っている以上にシャイな人間だし(笑)、そんな自分を隠すために強がってしまうこともあります。
でも、そうしたことで誤解されたり、きちんと伝わらない事もあったり・・・。
だから時々こうして心のままに文章を書く。
毎度のことながら拙文ですが、本を読むのが好きな僕にとって文章を書くことは嫌いではありません。
最近はあまりに時間に追われ、読めてない!
本を読む楽しさ、その意味。
これは僕に今から約20年前、今は亡き祖父が残してくれた大切なプレゼント。
僕の18歳が終わろうとする冬、カバンに数十冊の歴史小説を詰め込んでイギリスに旅立った時の事を、今でも昨日の事のように覚えています。
今なら色んな本の話が祖父と出来るのになぁ・・・。
中野信治