先日『世界の一流品大図鑑』(講談社)という本のインタビューを受けさせて頂きました。
この本は31年間毎年発刊されている歴史のある本で、取材で訪れた事務所も何とも歴史と風情を感じられる場所でした。また取材を担当してくださった方も、これまたこの業界の歴史を十分に感じさせてくれる職人のような方。そしてカメラマンさんも・・・。
とても楽しい取材でした。
そんな訳で今日は「一流品」について少し書かせて頂きたいと思います。
一流品の定義は、人によってまちまちだと思います。
また同じである必要もありません。
ただ・・・
高いものが一流品か?
ブランドのものが一流品か?
皆が知っているものだから一流品か?
僕は全然違うと思っています。ここから先は僕の勝手な私見ですが。。。
色々な言い分があると思いますが、これってやっぱり見栄の為?と思えなくもないような、ブランド志向の方もよくテレビや街中でお見かけします。
決してブランド品を否定している訳ではないですので、誤解しないでくださいね。
ただ、一流品とは本来、見栄の為に持つようなものではないと思います。
もちろん一般に言う一流品、ブランド物には本当に品質が良く、作り手の魂、そして目指しているものが伝わってくる物や、使い方によっては本当によく長持ちもしてくれるし、センスが良いと思うものは多々あります。
ここからは、僕の思うところの一流品の定義にも繋がりますが・・・。
一流品を持つ人は、やはり一流の心構え(品格)を持った人でなくてはならないように思えます。そうであって欲しいなぁと思います。
少なくとも、僕が作り手だったらそう思うはず。
一流品は持つ人によって、その価値、輝きを増します。
これはお金持ちか、そうでないかと言う事ではではないですよ。
品格という話では、「国家の品格」や「女性の品格」といったような本も出版されていますね。これにも色々なご意見があるかと思いますが、大切なことが多々書かれているように思います。僕も読ませて頂きましたが、興味のある方は是非読んでみてくださいね。
あと一ついえる事は、心に余裕があり、自分に自信のある人はそれほど自分の持ち物にこだわりません。特にブランドには・・・。
例えば、ヨーロッパでレースをしていると仕事柄身分の高い方にお会いする機会がありますが、そういう人々の普段のスタイルはごく自然です。TPOをわきまえ、人目をひくようなブランド品だけで身を固めることはしません。それよりは、自分自身の生き方にこだわりを持っているように思えます。
更に言うと、家族との時間をどう過ごすかだったり、仲間との楽しい時間をどうするのがいいのかだったり・・・。
考え方の視点が自分中心ではなく、周りとのバランスなんですね。これは実に素晴らしいことで、国内外問わずこのような方にお会いすると、いい意味でのこだわりというものを更に越えて、本来人間が持っているべきバランス感覚をきちんと持っている人だなぁと思ってしまう。
僕なんかにはまだまだ到底及ばない所ですが、心から尊敬の念を持ってしまいます。
ただそういった心の反面、物に対するこだわりを持つのも大事な事だとも思っています。
正確には物事に対するかな。
僕もそういった意味では、本当に自分がいいなぁと思えるものには、とても強いこだわりを持ちます。この場合も、物事といった方が適当かもしれません。
話が前後しますが、冷静に考えてみると、そこまで気持ちが入るものはそうそう見つからないはずですよ。5年後・10年後も変わらず大切に思えるものなのかなぁと。
人も物も、そこは似ているのかも・・・。
新しいものばかり心を奪われがちな現代にあって、古いものを大切にする事は、とても大事な事だと思います。だからこそ、目先の意識だけで判断しないで、たまには違った目線で物事を見てみるのもいいかもしれませんね。(笑)
今よりもっといい物が手に入り、いい人との出会いがあり、素晴らしい出来事が起こる可能性は十二分にあるはず。
本当に色々な方達がいらっしゃいますが、僕は自分の周りの成功されている方々を見ていても、そう思います。僕自身も目先の事ではない部分に意識を持っていけるよう、常に意識するよう心がけています。
あとは本の方で・・・。発売は4月中旬です。
皆さんにも大切にされている物が必ずあるはずです。
それは、どんなものなのでしょうか?
自分自身にとっての一流品。ずっと、そう言い続けることの出来るもの。
それでいいと思います。
ちょっと寒さが和らいだかな・・・。
中野信治