7.
May
2014
今日はベルギーではWEC第2戦スパの決勝が行われている土曜日だ。
今僕はイギリスのバッキンガムにあるステイ先でこの文章を書いている。
本来ならば今頃あのスパの名物であるオールージュを駆け抜けているはずだった…。
スパへ参戦出来ないことが決まってからもう直ぐ1週間が経とうとしている。
先週の頭には更に厳しい知らせを聞くことになった。
ルマン24参戦の権利をチームが失ってしまったのだ。
チームのメインスポンサーからの入金の遅延によりエントリーに必要な手続きを完了することが出来なかったのが理由だ。
開幕戦シルバーストーン直前の青天の霹靂のような出来事から更に難しい状況を突きつけられている。
もちろんこれは我々ドライバーだけではなくチームにとっても厳しい現実だ。
ここでは詳しいことの成り行きを記すことは出来ない。
今チームとそのスポンサーの間で起こっている事柄については、非常にデリケートな問題であり僕の範疇を越えた出来事であることも確かだ。
幸いにも僕はずっとイギリスに滞在することが出来ている為、おおよその内容は把握出来ている。
誰もこのような現状を望んでいないし、少しでも早くサーキットで共に戦える事をチーム全員が望んでいるのが事実だ。
そのためにチームオーナーをはじめこのプロジェクトの中心人物達が全力で問題の解決に向けて動いている。
日々状況は変化しているのでチームとのコミュニケーションを取り続ける事は無論重要だ。
そのためにぎりぎりまで僕はイギリスを離れずチームの側でこの状況を見守っている。
プロジェクトの内容は僕が想像していたよりも遥かに大きなものなので、正直今の僕自身に出来ることは少ないのかもしれない。
今回の出来事は規模が大きいが故に起こりえる困難とも言えよう。
それだけに一度きちんと転がりだせば大きな勢いがあるのは間違いない。
この1週間僕は考え始めるとどうしようもないくらい重くなる頭を、出来るだけ解放するべく時間を過ごすようにしてきた。
こちらに来てから徹底的に続けてきたトレーニングを淡々と続けることも忘れてはいない。
ルマン24参戦に向けては現段階でははっきりとした答えはない。
ただ一つだけ言えるのは、まだ諦めていないと言うことだけだ。
人事を尽くして天命を待ってみようと思う。
中野信治