DATE | RACE | CIRCUIT |
---|---|---|
10/30 | アジアンルマンシリーズ プラクティス1・2 予選 | 岡山国際サーキット |
10/31 | アジアンルマンシリーズ アジアン・ルマンシリーズ 第1戦 | 岡山国際サーキット |
11/1 | アジアンルマンシリーズ アジアン・ルマンシリーズ 第2戦 | 岡山国際サーキット |
Po. | No. | Cl. | Team | Machine | Driver | TIME |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 17 | LMP1 | SORA RACING | Pescarolo Judd | Nakano / Tinseau | 1:20:667 |
2 | 007 | LMP1 | ASTON MARTIN RACING | Lola Aston Martin | Mucke / Primat | 1:21:691 |
3 | 10 | LMP1 | TEAM ORECA MATMUT AIM | Oreca AIM | Lapierre / Duval | 1:21:766 |
Po. | No. | Cl. | Team | Machine | Driver | TIME |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 10 | LMP1 | TEAM ORECA MATMUT AIM | Oreca AIM | Lapierre / Duval | 1:21:390 |
2 | 17 | LMP1 | SORA RACING | Pescarolo Judd | Nakano / Tinseau | 1:21:929 |
3 | 87 | LMP1 | DRAYSON RACING | Lola Coupe Judd | Drayson / Cocker | 1:22:386 |
Po. | No. | Cl. | Team | Machine | Driver | LAPS |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 87 | LMP1 | DRAYSON RACING | Lola Coupe Judd | Drayson / Cocker | 1:19:143 |
2 | 17 | LMP1 | SORA RACING | Pescarolo Judd | Nakano / Tinseau | 1:19:249 |
3 | 10 | LMP1 | TEAM ORECA MATMUT AIM | Oreca AIM | Lapierre / Duval | 1:19:548 |
From 中野信治:
今回が初開催となるアジアンルマンシリーズ。このシリーズはルマン24の傘下のレースで、参戦するマシンはルマン24時間と同じマシン。
僕は今回このレースにフランスの名門チームである「SORA RACING(Pescarolo Sport)」から参戦することになりました。
僕が参戦する一番上のカテゴリーであるP1クラスには、アストンマーチンやアウディ、オレカなど強豪マシンが並びます。
初めてのチームに初めてのマシン。
果たしてどんな戦いになるのか・・・。
レースウィークの水曜日にサーキット入り。
初めて顔を合わせるチームメンバーとの挨拶もそこそこに早速ミーティングを開始。
週末のレースに向け限られた時間の中で、僕は少しでも多くの情報をチームから得たいと思う。同時にチームに中野信治というドライバーのキャラクターを理解してもらう為にも、
少しでも多くの時間をチームと過ごす必要があるのは当然の事だ。
今回チームメートとなるフランス人のクリストフ・タンソー選手ともこの日初対面。
彼はこのプロトタイプカーのスペシャリストであり、
今シーズンのヨーロッパルマンシリーズでシリーズ2位を獲得した優秀なドライバー。
じっくりと話も出来、少しチームの感触を掴むことができた。
木曜日には引き続きミーティング。そして自分専用のシートを作り、サーキットを下見の為に歩いて1周。レースまでにやる事は多い。もちろんチームのメンバーの名前も覚えなければならない。彼らは名前を覚えてもらうことを非常に喜んでくれる。
だが、これがすぐには覚えられない。。(苦笑)でも彼らとの距離を近くするには、名前で彼らを呼ぶことが最善の方法だという事を僕はヨーロッパで学んだ。
サーキット入りしてから既に2日間が経つが、この時点で僕の中でのチーム、そしてマシンに対するノウレッジはかなりのものになっていた。
恐らくこれが経験だろうと思う。
金曜日。この日が今大会初走行となる。晩秋の秋晴れの中、いよいよプラクティス開始。
まずはチームメートのクリストフがスタート。タイムは速く、マシンの状況が悪く無さそうだ。
それにしても、このドライバーはサーキットの学習能力が高い。見事トップタイムを叩き出し、ピットに戻ってくる。初めてのペスカローロのマシンだ。
久しぶりのこの感覚・・・!
走行前、頭の片隅に抱えていた心配と緊張は、1コーナーを抜けた瞬間に消えている。
1回目のセッションでは、初めて操るマシンのフィーリングを確かめつつ10周ほどの周回。感触は悪くない。このセッションをトップタイムで終えることが出来た。
セッション後は長いチームとのディスカッションの末、
幾つかのマシンへのセットアップの変更を施し、2回目のプラクティスに挑む事に。
2回目のセッションではスタートから僕がマシンをドライブする。
どうやら変更したマシンのセットアップは狙い通りのようだ。
このセッションで僕が記録したタイムがタイミングモニターの一番上に!トップタイムだ。
一年ぶりにドライブする、しかも初めて操るマシンでいきなりトップタイムを叩き出さす事が出来たその理由はやはりチーム力。もちろんその為に僕自身は色々な準備を進めてきたが、この結果がこのマシンの仕上がりの良さを示していると思う。
ピットに戻りクリストフに残りのセッションはステアリングを託す。
セッションの後半でこちらもフランスの強豪チームであるオレカにトップタイムを明け渡すも、2番手でこのセッションを終了。
このオレカのマシンに乗り込むのは、今季フォーミュラニッポンでチャンピオンを獲得したロイック・デュバル選手に、来季はF1への参戦が噂されるブルーノ・セナ選手とともに同チームからルマン24へ出場したニコラ・ラピエール選手。
彼はそんなブルーノ・セナ選手以上のスピードをこのシリーズで見せており、このチームが今回のレースでのメインライバルになる事がこの時点で予想されていた。
今回このレースにはローラアストンマーティンにアウディ、ドライソンローラと言ったヨーロッパ、アメリカのルマンシリーズで最も重要な強豪チームが出揃っている。
ドライバーに関しても、これまでのシリーズで最も評価の高かったドライバーがこの日本に送り込まれており、どこが勝ってもおかしくないくらいチームの実力が拮抗しているのも事実である。
この日の夕方からは明日明後日に行われるレースのグリッドを決める為の予選が行われた。この予選はやはりこのマシンを知り尽くしているクリストフが担当する事に。
セッション前半でトップタイムを記録し、ポールポジション獲得かと思われたが、最後にこの予選でソフトタイヤを装着したドライソンローラが逆転。
僕たちは予選を2位で終えることになった。
この時点ではソフトタイヤはレース後半まで持たないだろうとの予想で、
このチーム以外は全てハードタイヤを装着。ソフトタイヤは恐らくこのコースで1秒くらいのマージンを得ることが出来ると考えられている。
ただレースのスタートでは予選で履いたものと同じタイヤを装着しなければならない為、
レースに向けて確実なハードタイヤを選んだという事だ。
この日の夜はレースに向けてのマシンのセットアップや作戦を決める作業で、
夜遅くまでチームとのディスカッションを重ねた。
こうして物事をじっくりと信頼出来る仲間と組み立てていく作業は僕の得意分野であり大好きな時間。チームとの距離も今日の走行をきっかけに一気に近づいた手ごたえがある。
1周1周の走りがチームへのアピールにもなり、いい走りを見せられればそれが信頼へとつながる。この日の夜に立てた作戦が土曜日に行われる第1戦でどのような結果になるのかは、この時点ではまだ誰にもわからない。
今日は長い一日になったが、程よい疲れと充実感が体に漲っていた。
余談だが、この日の夜ホテルに戻る道中で鹿と猪に遭遇!
山の奥深い道を通って帰る為、何か出てきそうな感じはあるが、
まさか3匹の立派な鹿に猪とは。(笑)チームメートのクリストフとともに大興奮。
僕は何を隠そう猪年生まれ。何かいいことありそうな予感が・・・?
Po. | No. | Cl. | Team | Machine | Driver | LAPS |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 17 | LMP1 | SORA RACING | Pescarolo Judd | Nakano / Tinseau | 126 |
2 | 10 | LMP1 | TEAM ORECA MATMUT AIM | Oreca AIM | Lapierre / Duval | 126 |
3 | 007 | LMP1 | ASTON MARTIN RACING | Lola Aston Martin | Mucke / Primat | 124 |
From 中野信治:
迎えた土曜日。
この日はアジアンルマンシリーズの記念すべき第1戦。
天候は晴れ。
朝の気温はそれほど高くないが、レースがスタートする12時にはかなり気温も上昇するだろう。
選んだタイヤも間違いないはず・・・
スタートはクリストフが担当。グリーンライトが点灯した瞬間、若干アクセルオンのタイミングを狂わされた感があり、1コーナーを抜けたところで4番手に後退。
トップはポールポジションを獲得していたドライソンローラ。
ソフトタイヤの強烈なグリップ力を利用して、後続を引き離しにかかる。
2番手以下は、ローラアストンマーティンにオレカ。いずれもルマンヨーロッパシリーズで常にトップ争いを展開している強豪チーム。
4番手のクリストフの後には、不気味な存在であるアウディ勢が虎視眈々とその隙をうかがっている。
レースはドライソンが若干のアドバンテージを保ちながら逃げるが、2番手以下は、
一度のミスで順位が入れ替わる距離での接戦を展開。
まずレースが動いたのはトップのドライソンが予想通りタイヤのグリップ低下からかペースが落ち始め、次第に2番低下の集団との距離がなくなる。
4つ巴とトップ争いになるかと思われたその周に、突然ドライソンがピットへ。
ルーティーンのピットには早すぎるので、タイヤが限界だったのか・・・?
これでトップはローラアストン。このマシンは日を追う事にセットアップがまとまってきていて、もともとポテンシャルが高いマシンなだけに、条件が整うと恐ろしく速い。今度はこのアストンが若干速いペースで逃げ始める。
37周を終えたところでまずアストンがピットへ。そしてその2周後にクリストフもピットへ戻ってくる。このピットでガソリン補給、タイヤ交換、そしてドライバー交代を行う。
いよいよ僕のドライブ。
武者震いが止まらない・・・!
ドライバー交代は木曜日から何度も練習を重ねていたので、
完璧に素早くこなす事が出来、メカニック達がタイヤ交換を終えるのをコクピットの中でじっと待つ。
チーフメカのテリーからの合図でエンジンを始動、いざスタート!
この次の週にはオレカもピットへ。
これでトップを争う3台のマシン全てのピット作業が終わる。
このピットのタイミングが後のレースでの明暗を分ける事になるとは、
この時まだ誰にも分からない・・・。
第2スティントに入ったこの地点での順位はトップローラアストン、2位オレカ、3位が僕のドライブするペスカローロのマシン。後にはアウディ勢がつけるが、すでに30秒以上の差がついている。
事実上のトップ争いは、この3台に絞られたと言えよう。
テールトゥノーズでの争いが続くが、順位が変わるには至らない。
遅いマシンをかき分けながら、自分のラインを見つけて、いかにタイヤに負担をかけず、
そしてタイムを落とさずに走るかに集中する。
たった一つの判断ミスで、レースを落とす可能性が高く、
周を重ねるごとに緊迫した時間が流れている。
僕のマシンはタイヤの内圧がなかなか上がらず、ハンドリングが自分の思ったようなものになってくれない・・・。それでもなんとか前を行く2台のテールに喰らいつき、クリストフからバトンを渡された時の差をキープ。
40周を過ぎた辺りでまずは、ローラアストンが給油とタイヤ交換の為ピットへ。
そして2周遅れて僕がピットへ。オレカは再び最後にピットに戻る。
これで、チームの燃費が見えてきた。
残りのスティントをエクストラの給油無しで走りきれるかどうか・・・。
再び完璧なピット作業を終え、クリストフがコースへ復帰。
遅れてピットへ戻ったオレカは、エンジンの始動に若干手こずり数秒を失う。
この数秒のロスでクリストフがオレカの前へ!
これで2番手に浮上。 再びローラを追いながら緊迫した時間が流れる。
後にはオレカが迫る。
オレカのマシンは最後のピットのタイミングから計算して、
これ以上の給油は必要ないだろう。ローラは持つか持たないか分からない。
僕とチームの計算では、恐らくチェッカーまでのラスト数周でローラはピットに戻ってくるだろう。クリストフが最後までこのまま走り続けられるかどうか・・・。
500キロの距離で争われるこのレースですが、どうやらこのままいくとタイムレースになりそう。500キロとともに、3時間というルールが定められている為、
3時間経過時点で500キロを走破していなければ、そこで順位が決定する。
レースもゴールまで数週となったところで、ローラがピットへ。
やった!
これでクリストフがトップへ。
後残りは4周だ。
クリストフのガソリンは持つのか。。
ラスト1周。
テレメトリーで送られてくるデータ上では、残りのガソリン残量はギリギリの状況!!
チームの全員が祈りながらモニターを見つめる。
そしてチェッカー!
優勝だ!!!
その瞬間僕を含め、スタッフ全員がピットレーンに飛び出した。
戦いを終えて僕たちの目の前を走り抜けるマシン。
マシンのガソソン残量は1リッターを切っていた。
あと1周あったら・・・。
これがレース。
チーム、そしてドライバーがミスなく、完璧な仕事をこなした結果、
最高の結末を迎えることが出来る。
この感覚。
もう思い出せない。。
ここまでのことがこみ上げてきて、不覚にも思わず涙がこぼれそうになる。
でもこの涙は来季のルマン24にとっておかなければ。。。
この優勝はチームのメンバー・チームメートのクリストフ、
そして今回僕がレースへ参戦するためにお力をお貸しくださった
全ての皆さんのお陰です。
心から感謝の念がこみ上げてきます。
当日には沢山の友人・仲間達もサーキットまで応援に来てくれていました。
そんなみんなの力も、僕とチームの大きな後押しをしてくれていました。
こういう瞬間を経験すると、決して人間は一人では戦えない(一人ではない)という事を強く感じる事が出来ます。
記念すべき第1戦でまずは優勝という素晴らしい結果。
ただあまり喜んでいる時間もなく、ここからは明日行われる第2戦の為に頭を切り替えなければなりません。この日も遅くまでミーティングが続きました。
天気予報では、明日は曇りのち雨
午前中は降らないにしても気温はかなり下がりそう。。
いずれにしても今日とは全く違うストーリーが必要です。
タイヤの選択、セットアップ、燃費計算等々・・・。
寒くなればスピードは上がり燃費は悪くなります。
そうすればガソリンが持たない。タイヤもソフトが使えるかもしれない。
でもまだこの週末一度も使っていない・・・。
本当に多くの「たら」「れば」が出てきてしまいます。
こんな時に最後の決断を下すのが、チーム監督
今回の監督兼チーフエンジニアであるクロード・ギャロパン氏。
もちろんフランス人です。
F1などあらゆるカテゴリーでの長い経験を活かしてのその手腕には定評があります。
なかなか笑わない、生粋のエンジニアであり職人。
僕の性格上、レース後にこの人を笑わせてみたいとも思ってしまいます。
この日の夜は体中にレースの余韻が残っており、
またここに至るまでの色々なことが思い出され、
なかなか眠りにつく事ができませんでした。
Po. | No. | Cl. | Team | Machine | Driver | LAPS |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 007 | LMP1 | ASTON MARTIN RACING | Lola Aston Martin | Mucke / Primat | 128 |
2 | 17 | LMP1 | SORA RACING | Pescarolo Judd | Nakano / Tinseau | 128 |
3 | 10 | LMP1 | TEAM ORECA MATMUT AIM | Oreca AIM | Lapierre / Duval | 128 |
From 中野信治:
そして迎えた日曜日。
予報ではこの日は曇り&雨が予想されていたが、それに反して空からは太陽が顔を覗かせている。
これをどう読めばいいのか・・・?
最後の最後までタイヤチョイスに頭を抱えるチームメンバー。
僕たちは昨日の優勝でシリーズポイントも獲得しているので、ここは確実な作戦を選ぶことにしてハードタイヤでスタートすることに。
今回もスタートはクリストフが担当、スタートは無難にこなし、順位はスタートと変わらず2番手で1周目を終える。
トップはドライソンローラ。
予想通り彼らはソフトタイヤを選択。
やはりソフトタイヤを選択したドライソンのペースは速い。
クリストフはドライソンのペースに付いていけず苦しむが、何とか2位を死守している。
第1スティントも後半を迎えようとしているところで周回遅れの処理にてこずり、ローラアストンが前に。
クリストフは3番手まで順位を落とすが、後方のオレカとのテールトゥノーズの状態が続く。
結局このままの順位でまずはローラアストンがルーティーンのピットへ。
ローラアストンもソフトタイヤを選択しているのか、彼らのペースも速い。
続いてクリストフがピットへ。
ソフトかハードの選択に頭を悩ませるが、エンジニアのクロードはハードタイヤを選択。
ドライバーを僕に交代して、再び戦列に復帰。
トップグループのマシン全てのピットを終えての順位は、
ローラアストンが1位、2位が僕の操るペスカローロ、3位にオレカの順。
ドライソンはピット作業を失敗したのか、順位を落としている。
そして4、5番手にはアウディがつける。
このスティントではソフトタイヤを選択したオレカがタイヤアドバンテージを活かし、
猛烈な勢いで僕のテールに襲い掛かってくる。
この時点でアウディとペスカローロを除く、全てのチームがソフトタイヤを選択したことになる。
僕はこの今季のフォーミュラニッポンの王者が操るオレカのマシンの猛烈なプッシュを
凌ぎ、2位を死守。ここが正念場だ!
トップのローラアストンとの差は全く動かない。
43周を終えたところで再びピットへ、クリストフにステアリングを託す。
ここでの順位はローラアストン、ペスカローロ、アウデイ、オレカの順。
オレカはトラブルで一度ピットに戻ったようだ。
そのタイミングでガソリンも給油。これで彼らは全ての予定ピットを終えた事になる。
残りの周回数を考えてもう一度ピットに入らなければならないのは、
ローラアストンとペスカローロの2台。
昨日とは違い気温が低くラップタイムが速い為、燃費はかなり厳しい。
このあとオレカがアウディを抜いて3位に浮上。
トップのローラアストンはソフトタイヤで更にペースを上げ、
クリストフとの差を広げにかかる。
ソフトタイヤのタイムの落ちが思ったほど大きくなく、
どうやらタイヤの選択としてはソフトタイヤが当たりのようだ。
20周を過ぎてからのタイムは、ソフト・ハードタイヤともにほぼ同等だが、
それまでの周回でのペースはソフトの方が1秒以上速い。
ワンスティントを走りきると、単純計算でも20秒~30秒は速いことになる・・・。
トップとの差は既に広がりすぎている為、事実上2位争いに集中しなければならない。
後ろを走るのはオレカのマシン。彼らは最後のピットを終えて、
ソフトタイヤでかなりペースを上げ、僕達のマシンを猛追開始。
大きく開いていた差も、みるみる無くなりつつある・・・!
計算上、クリストフがラスト5周のタイミングでピットに入り、
スプラッシュ・アンド・ゴーに要する時間はトータルで33秒。
これはピットに入り残り5周分の燃料のみを補給して再び戦列に復帰するまでの時間だ。
この時点でのトラック上でのオレカとの差は34秒~36秒。一瞬のミスで確実に順位は入れ替わってしまう。レースは本当にコンマ勝負の世界なのだ!
ピットのクロードからこの状況を伝える無線がクリストフに入っているだろう。
そしてクリストフはここから本当にここ一番の素晴らしい頑張りを見せてくれた。
彼がピットに戻った時の3位オレカとの差は実に35秒!
チームの計算通り、33秒でピットアウトした時のオレカとの差はわずか2秒だった。
そしてオレカの前にコース復帰。
残り5周、オレカを最後まで抑えて見事に2位でフィニッシュ!
昨日の結果と合わせた合計ポイントでシリーズ総合優勝が確定!!!
ついに僕たちがアジアンルマンシリーズ初代王者に輝きました。
今回僕の戦いを応援、温かく見守っていてくださった方々に改めて心からの感謝を。
昼夜問わず最後まで共に戦ってくれた日本の侍、アメリカ在住のJさんに心からの感謝を。
日本・アメリカ・フランスの時差の中、眠れぬ毎日を共に戦ってくださった彼に、
僕は日本の侍の姿をだぶらせました。
そして・・・今回のレースの1ヶ月前に亡くなられた心優しい僕の友人N氏に
この勝利を捧げたいと思います。
深謝・合掌